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トヨタ自動車 車載電池関連に1・5兆円投資

ハイブリッド技術で世界を牽引してきたトヨタ

2018年度の決算説明会でトヨタ社長が表明していた車載電池関連事業に1.5兆円規模の投資構想を示し、先日(2021年9月)トヨタ役員から実行に移す記者会見がありました。トヨタは世界トップの自動車メーカーとして、EV化が遅れていると懸念する声を聴かされてきました。満を持して「2030年に800万台のEV自動車製造を目指す」と内外に表明しました。

車載電池の開発と自社ライン生産に1.5兆円投資

EV自動車の発展に解決する課題が残されている

  • 自動車のコストの1/3占める車載電池
  • 電池火災の危険性を解消する技術開発
  • 充電時間の短縮、充電インフラの拡充
  • 化石燃料を使わない電気の確保
  • エンジン技術の転換と産業移行

トヨタはEV化を加速する姿勢を示した。

公道で固体電池を搭載したテスト車両
公道で固体電池を搭載したテスト車両

ハイブリッド技術が生かされるトヨタ

世界が追いつけなかったトヨタのハイブリッド技術はEV化にも大きな力となります。2019年に電池製造パナソニック(49%)とトヨタ(51%)の合弁会社を設立され中国で電池生産を開始しています。

一方、密かにトヨタは「全固体電池」開発で世界一の特許技術を取得しています。EV自動車で先頭を走るテスラは昨年9月バッテリーを自社生産しコストを56%引き下げると発表しました。中国のCATL,韓国のLG化学、日本のパナソニックなど納入している電池製造メーカーに大きな衝撃が走り株価が大きく下落しました。

~ EV自動車の価値は車載電池が生命線であることに違いない ~

電気自動車と全固体電池開発を急ぐ日本

完全EV化への道に多くの課題がある

車載電池のコストと発火の危険性克服

最近、米国のGM社、韓国現代、独VWなどの車種で韓国LG化学社製の車載電池から発火する事態でリコールが起こって莫大な損害が発生しています。思い起こせばトヨタのハイブリッド車による事故を理由に、就任間もない豊田章男社長がアメリカ議会の公聴会に呼ばれ追及されたことを思い起こします。会社の存亡にかかわる事態になりかねない開発の難しさがあります。

発火の原因は一般にわかりませんが、過剰充電、急速充電などで100%求めると発火の原因の可能性を指摘、80%程度に抑える必要があると記しています。航続距離や充電速度を無理に上げると問題が起こる? 性能表示と安全性と低価格の狭間でしのぎを削っている。

中国メーカーCATLとの競争を意識した韓国メーカーLG化学に厳しい現実が浮かび上がっています。

EV車リーフで先行する日産は、自社開発の電池を搭載してきましたが、2020年中国企業に電池事業を売却し、現在は中国CATL製を搭載しています。

充電スタンドのインフラ整備

先行する中国のEV車戦略に欠かせない充電スタンドは国を挙げて補助金を拡充し乱立状況で立ち上がりました。2020年乱立する充電スタンドは稼働率10%に満たない状況にありました。低価格のEV車などで徐々に稼働率が上がっています。アメリカ・日本はインフラ整備が整っていません。充電システムの規格統一世界的な課題として残されています。

中国でテスラは専用の充電スタンドになっているようです。

温室効果ガス排出ゼロ トヨタの使命

2050年温室ガス排出ゼロ使命

2050年温室効果ガス排出ゼロ宣言の中に、ものずくり日本の力を発揮する技術革新が隠されています。経済3位の日本が復権する大きな課題は積み上げてきた基礎研究と技術の継承と発展によって生まれると理解しています。バブル崩壊後の平成不況とアジア新興国の成長によって脅かされた日本のものずくり復活が温室ガス排出ゼロの中に沢山含まれていると思います。

日本は戦後復興、高度成長期を支えた基礎研究と技術革新がなしえた成長を石油コンビナートの黒い煙、ジーゼル自動車の排ガスなどを規制と技術革新で一つ一つ改善を繰り返してきました。

新しい技術は別の被害も生み出してきました。日本は成長と挫折の中で培われたものが蓄えられています。

小さな島国の生きる道は、世界に向けてより良い環境を作り出すことにかかっています。

トヨタがカーボンニュートラルに1.5兆円の投資を決定、2021年9月7日 記者説明会

ユーチューブ 動画 記者説明会・質疑応答

長時間の動画ですが、日本のものづくりの将来を詳しく説明されています。記者説明会に日本のトップメーカーの培ってきた自信と信頼が詰まっています。

記者の質問に「ご質問ありがとうございます」お礼の言葉から「配布されているプレゼン資料」のページ数を示し、詳細にわかりやすく説明しています。 

全固体電池はハイブリッド車から

トヨタの誇るハイブリッド車から全固体電池の採用を始める。全固体電池のでは急速充電・容量拡大の懸念と長寿命化の観点から徐々に拡大していくとトヨタが発表しています。EV自動車のバッテリー火災事故も起こっていることから、慎重な投入となる。

トヨタ カーボンニュートラル

安心を届けるトヨタの技術

日本の電池事業は韓国・中国に越されている。しかし、電池開発の先進国として復活を期待しています。トヨタは先進技術でハイブリッドを制覇したように、トヨタはハイブリッド電池技術で積み重ねた技術を「安心」のKEYワードで届けようとしています。