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平成不況の脱却が見える令和の改革

高度成長期に積み重ねたバブル経済の終焉

高度成長によって積みあがった日本経済は世界から批判される社会の中で「膨れ上がる資産、日本への投資」が世界を牽引する力となると判断、金融経済の拡大による、積極的なリゾート開発、公共投資、地方への資金のバラマキなど財政出動を続け、地価の高騰、投資資産の高騰、会員権の拡張によるバブル経済を造りあげました。終焉の頃、第一次湾岸戦争勃発(イラクのクエート侵攻)に自衛隊の派遣ができない日本は巨額の資金90億ドルを多国籍軍に拠出決定、一方で日本経済のバブル経済に日本銀行の金融引き締めが始まりバブル経済の終焉を迎えました。

高度成長期~平成不況のギャップ

日本の高度成長期は1950年代中ごろから1973年(第一次オイルショック)までを表し、成長安定期(1973年~1980年代後半のバブル期)で1991年バブル崩壊によって30年に及ぶ平成不況期を迎えました。想像を絶する日本の凋落は厳しい社会を生み出し、自信喪失した日本社会は全てにおいて活力を失い期待が喪失社会に変わりました。

  • 高度成長期 1956~1973年 第一次オイルショックまでGDP成長率 +9.2%
  • 成長安定期 1974~1990年 バブル経済崩壊まで   GDP成長率 +3.8%
  • 平成不況期 1991~2000年 バブル崩壊大不況期   GDP成長率 +1.3%

平成不況と新興国の台頭に苦しむ日本

1996年マイクロソフトWindows96の画期的なソフト開発によりコンピューター社会は大きく変わり、日本の電機メーカーは小型パソコン技術で復活を図り、ノートパソコンの進化で小型コンピューターの開発技術で日本は復活の機運を高めました。しかし、新興国(台湾)などによる安価な機器が登場し、ICチップ(集積回路)の成長気運が高まり、ITバブルの状況が生まれました。しかし、日本は高度成長期の勢いがなく、新興国が日本に替わる代替え産業として徐々に成長し、日本は以前の50%以上の世界シエアーの時代が到来せず、徐々に競争力を失って産業から撤退していきました。バブル経済崩壊の爪痕は政治、経済、社会の衰退と自信喪失による活力の低下によって、復活のシナリオを描けづに政治、経済、社会の混乱が続きます。

平成不況が続く中で2001年郵政民営化を掲げた小泉純一郎の総理大臣就任によって、政治主導の構造改革に大きな変革をもたらし安定した5年(2001~2006年)で復活の芽が生まれました。しかし、第一次安倍~福田~麻生政権、リーマンショック(2008年)を経て政権交代(民主党政権誕生)鳩山~菅(2011年東日本大震災・福島原発爆発事故)~野田政権において、バブル経済の復活のシナリオが描けず、6人の首相の1年交代の不安定な政治体制の中で世界から信頼を失っていきました。新興国(台湾・中国・韓国)はどんどん成長し、2010年GDP世界2位の地位を中国に抜かれ3位になり、2015年には平均賃金で韓国に抜かれていました。衰退する日本の復活は可能だろうか?

2012年自民党復権、第2次安倍政権誕生

2012年12月、民主党政権3期(野田首相)の党首会談で衆議院解散総選挙となり、自民党総裁に返り咲いた安倍晋三が復権を掛けて第2次安倍内閣を誕生させました。3年間のブランクの中で幅広い勉強をして復権を掛けた政策を遂行し、国民を牽引しました。しかし、弱体する野党の中で強権化する安倍政権は、森友・加計問題を起こし、是対多数の権力構造で政治を動かし明治以来最長(7年半)の総理大臣として君臨しました。日本国民は6年間に6人の首相交代による国民と世界に信頼をなくしていました。安倍首相は3本の矢を提唱して国民を牽引しアメリカ議会で「アベノミクス」と表現して投資を促し世界への復帰をアピールしました。しかし、2020年の新型コロナウイルスの蔓延で心労の中で病再発し退陣しました。後の総選挙の遊説中に凶弾に倒れ死去しました。しかし、裏側では統一教会問題に発展する影が浮上しました。今日本の政治とカネの問題で、自民党政権は安倍派を中心に「パーテー資金の裏金」問題で追及を受けて信頼を失っています。

経済界の復活のシナリオ低賃金の引き上げ

1990年から30年にわたる日本経済の停滞の主要因は、日本企業の「3低経営」といわれる。企業は「投資」「賃金」を抑え、結果として効率の低さと売上高の伸び悩みを受け入れる。ひたすらリスクを避け、生き残りを図る縮小均衡経営を行ってきた。今、日本の経済界は生き残りを図る縮小均衡経営から脱却する大きな転換期を迎えています。

しかし、経営の失敗は許されず躊躇を繰り返してきました。日本の平成期の成長企業を見た時に、老舗、新興企業とも、緻密な経営戦略の中で積極的に打って出る企業が目につきます。トヨタ自動車、ソニー、日立製作所、NTT ,KDDI、Softbank、JR、オリックス、ユニクロ、ZOZOなど多くの企業は接客的な企業展開をしています。しかし、中小企業を含めて大多数の企業は守りの戦略を取っています。

2024年度春闘の賃金交渉は大企業において「満額回答」を実現し、政府、経済界、労働界が三位一体の取り組みを実現しています。引き続き行われる中小企業の回答が焦点になっています。