日本経済を牽引するトヨタ自動車の戦略

2024年世界はEV車減速、ハイブリッド車へ

昨年末頃から、欧州、米国、中国の三大市場のEV戦略に大きな変化が起こっています。

  • EVへの消費者の需要が一巡してきた
  • 高額なEV自動車の補助金政策に疑念
  • レンタル会社で顧客のEV不人気!
  • EV自動車の利便性(充電?、航続距離)

地球温暖化(温室効果ガス排出ゼロ)の観点から、欧州・米国・中国が国家を上げた補助金でEV自動車の支援を行った。しかし、インフラ整備、車載電池の危険性と冬季の限界、航続距離の不安、最大の欠陥は消費者のニーズに届いていない。

トヨタのハイブリッド車 プリウスの復活人気

地球温暖化に対する世界的な議論が高まる中、1997年、京都国際会議場で開かれた「気候変動に関する国際連合枠組み条約の京都議定書」締結の年、初代プリウスが発売されました。現在のEV車が世に出た時と同様に一定の層からの流通が始まりました。2代目2003年、3代目2009年、4代目2015年、モデルチエンジ2018年(現行) 3代目の2010年、2012年30万台(年間)を売り上げました(2011年東日本大震災)その後、小型車のアクアを東日本大震災被災地の東北工場で復興生産を始めました。

現在は日本のハイブリッド車の比率は50%に達しています。日本が誇るハイブリッド技術の半世紀の歴史と安心感は今も世界に誇るエコ自動車技術になります。しかし、世界戦略は生産、販売競争の中にあり、常に世界戦略と技術の研鑽が求められています。

2018年のプリウスモデルチエンジはスタイルも安全性にも配慮して生産しています。若い層や女性の層と世界的なモデル技術車として人気があります。トヨタは多くの機種にもハイブリッド技術を搭載して世界を牽引しています。今、世界的に減速しているEV自動車の新たな戦略が登場することは間違いありません。全方位戦略と価格戦略、車載電池の安全性と航続距離、充電インフラ整備など2030年に向けた様々な展開が待っています。 

急激に変化する エンジン ⇔ HV車 ⇔ EV車

パリ協定(2015年COP21)の批准で世界が変わる

国連気候変動枠組み条約締約会議(COP)で温室効果ガス削減に関するは国際的な取り組みが毎年議論され「2015年批准COP21パリ協定」の削減目標に沿って、世界各国は国家の責任において取り組む重要な指標です。

1995年国連の決議機関「気候変動枠組み条約締約会議」がスタートしました。地球温暖化の懸念が起こり、国際的な議論と対策の重要な会議として毎年世界で会議が開かれ、1997年(COP3)京都国際会議場で初の批准「京都議定書発効」され、世界が本格的取り組みを開始しました。当時は産業革命以来150年の歴史の中で先進国が工業化による化石燃料の大量使用を続けてきた影響を調整するため先進国を中心に責任の削減目標が設定されました。日本も6%の削減目標を掲げて取り組みを開始しました。

世界の平均気温を1.5℃下げる取り組みが2015年(COP21 パリ協定)で世界の大多数の国が批准に賛同し、目標に向かって努力を重ねています。自動車からの排出ガスは化石燃料由来のエネルギーで電気自動車(EV化)が世界のコンセンサスとなって推進されています。日本はEV化に大きく遅れていると指摘されてきました。しかし、EV化の加速は、長年積み重ねてきたエンジン車の可能性を否定するもになり、技術と消費者のニーズに届いていないことが露呈し、2024年EV化にブレーキが掛かっています。

ハイブリッド車 プリウスの生産ライン 復活加速
ハイブリッド車 プリウスの生産ライン 復活加速

1997年ハイブリッド車プリウスが市場に

日本ではトラックなどのジーゼルエンジンから排出される排気ガス規制(東京都)が施行され

高度成長期、化学コンビナートから排出される排煙による公害を経験し対策を取ってきました。今も車や工場の排ガス問題は新興国、後進国でも深刻な健康被害を起こしています。世界2位の経済大国中国では電力、自動車、工場などの排ガス(PM2.5)による光化学スモッグで覆われる状況にあります。世界に広がる温室効果ガスが「地球温暖化」を引き起こし、異常気象による豪雨災害、森林火災、高温化による干ばつ、広がる地球温度の上昇による環境の変化は2050年には許容できな危険な状況が起こるとされています。

急ブレーキのEV自動車市場に値下げの波

急拡大するEV自動車市場にブレーキ

2023年後半~2024年1・2月にかけて欧州、米国においてEV自動車に対する技術的な懸念、インフラ整備の遅れ、消費者の意向など様々な状況変化により急拡大したEV自動車にブレーキが掛かって、世界の多くのメーカーは生産体制の見直しを検討しています。しかし、不動産不況の中で、中国経済を支えつつあるEV自動車の戦略に中国政府も多額の支援を行いサポートしています。しかし、消費者の満足度に達しない状況もあり昨年後半から勢いに陰りが出ています。EV自動車販売トップのテスラを追い越し、世界戦略で展開しているBYDが追い越す勢いになっています。今、25年の実績のあるトヨタハイブリッド車プリウスが人気となり復活の勢いを見せています。EV自動車の価格競争が激化し、大幅な値下げ合戦に突入しました。