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混迷する世界 分断の社会と災害 日本の役割

 2011年 東日本大震災津波・原発事故

日本で起こった2011年3月11日マグニチュード9.0、震度7の津波の高さ女川で14.9mを記録、遡上高40mに上り東北地方沿岸に甚大な被害(死亡・行方不明 22000人)、福島原子力発電所1~4号機の爆発事故により広範囲に放射性物質の飛散で今世紀最大の自然災害と原発事故を起こしました。原発開発先進国日本は「安全神話を無にする最大の汚点」となりました。地球温暖化の弊害となる二酸化炭素を排出しない「原子力発電推進」に世界は急ブレーキがかかりました。世界のエネルギー政策に大きな支障と転換が求められ、日本の25%を賄っていた原発50基が一斉に止まり、電力不足に陥り、停止していた石炭火力発電所の再稼働を余儀なくされました。

福島原発事故によってエネルギー政策の転換

世界最大の原発事故がエネルギー政策の大転換

東日本大震災により同時に起こった福島原子力発電所爆発(1~4号機)事故は想定を超えた巨大津波が擁壁を乗り越えて「電源喪失」による原発事故に遭遇しました。しかし、東京電力内で危険性が指摘される中で議論を先送りした東京電力の責任は重いと指摘されています。資源のない日本は「1973年の第一次オイルショック」以降、政府は電力三法を旗印」に推進してきた「原子力発電の安全神話」を失い技術立国日本の大きな汚点となり、ドイツを始め世界は「原発廃止・再生可能エネルギー」へと大きく舵を切りました。世界のエネルギー資源の大転換は後のエネルギー資源の紛争の火種となっています。

2015年「パリ協定」による削減目標

1996年COP3京都議定書から20年後に調印された「パリ協定は」二酸化炭素排出量削減計画・目標を加盟国の批准によって共通のルールに基づいて国連が検証することに各国が署名しました。地球温暖化の影響と思われる気候変動の異変が世界各地で起こっています。産業革命以来の世界気温上昇を1.5~2.0に抑えることが決められています。しかし、エネルギー資源国などによる軋轢などが起こり、対応が遅々として進みません。2022年ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナガザの紛争、スエズ運河(紅海)や中東に拡大、世界のエネルギー資源国と消費国への影響によりエネルギー争奪戦が起こり各国のエネルギー資源争奪による物価高騰が各国の政局にも影響している。

混迷の世紀 紛争、エネ転換、物価高による対立

世界の協調から自国第一・権威主義の台頭

自由民主主義圏の衰退の中、権威主義(専制主義)の国家運営が広がっています。日本の周りは日本・韓国・台湾の自由民主主義圏と専制主義国中国・ロシア・北朝鮮があります。最大の影響はアメリカで起こった2001年9・11テロ、2008年リーマンショック(バブル崩壊)後の混乱・低迷の中で世界の工場として急成長を遂げた中国、2012年習近平国家主席就任「一帯一路・アジア投資銀行(AIIB)」世界制覇に向けた野心的な構想を披瀝しました。G7 先進国自由民主主義国の成長鈍化の中で急成長を遂げ世界2位の経済・軍事国に成長した中国との対立が混迷の世界を表現しています。

  • 1991年2月、日本はバブル経済崩壊によって高度成長から低成長(平成不況30年)の厳しい国家運営が続きました。
  • 1991年ソビエト連邦崩壊によって弱体化したロシアの混乱の中、KGB出身のプーチンが2000年に大統領に就任、西欧や日本・中国とも強調しながら豊富なエネルギー資源を活用して富と地位を築いてきました。G7(先進国首脳会議)+ロシア(G8)として先進国会議の一員となり、日本とも友好を演出しながらロシアの復権とプーチンの独裁国家を造りあげました。
  • 1978年毛沢東主席の文化大革命(10年)に失敗した中国は、鄧小平の「改革開放政策」によって西側資本を取り入れ、上海・深圳など改革開放特区による経済成長を目指しました。
  • 1989年に起こった自由民権運動によって起こった「天安門事件」によって弾圧され共産党一党政治の確立が唯一の道として中国の国家統制が今も続いています。
  • 旧ソビエト連邦國であった東欧圏国はの多くはEU・NATO圏に加盟しロシアと距離を置きました。兄弟国としてのウクライナも加盟への動きを加速していました。2014年ロシアはウクライナ領土クリミア半島をロシアが併合G8からロシアを除外した。2022年2月24日ウクライナに侵攻開始、3年近くに及ぶ戦い。

アメリカ第一主義・トランプ大統領の影響

2025年1月 トランプ大統領の自国第一主義

混迷する世界の秩序が自国第一主義を掲げるトランプ大統領就任によって世界の構図に変化と混乱が予測されます。世界2位の強国となった中国経済は「不動産バブル」の影響を受け、EV自動車・鉄鋼・ソーラーパネルなど多くの過剰生産による世界との対立軸の中で停滞する中国経済は内政にも大きな影響を及ぼします。今、世界の工場としての見直しの局面もあり、中国への投資が減少しています。互いに世界の秩序が維持できる世界が誕生することを願っています。