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世界制覇の野望 習近平政権3期目の苦闘

中国の歴史から消えた文化大革命と天安門事件

中国の近代史の中で行われた「文化大革命」と「天安門事件」は日本の高度成長期の中で起こった凄惨な出来事として記憶しています。今、中国の歴史の中で表現することは許されていません。英国統治領「香港」は英国サッチャー首相と改革開放の中国鄧小平において、1997年に「香港を一国二制度」による50年後の2047年まで、香港において言論や集会の自由を認めることで合意締結した制度です。もともとは台湾統治に向けた原案を「香港」に適用したと言われています。

鄧小平は共産党総書記(中国共産党のトップ)、国家主席(国のトップ)についておらず、ただし、軍のトップであった。鄧小平の記述に主席、総書記の表現はありません。天安門事件の時は改革派の胡耀邦が総書記であった。天安門事件の時の軍の出動は「鄧小平」の指揮のもとで行われた。

それ以前の文化大革命において鄧小平は副主席の要職にいたが「共産党員でありながら」階級はく奪粛清された。

習近平主席(国のトップ、党のトップ、軍のトップ)全ての実権を握り、党規約を変更して3期目(11年目~)の中国統治を行っています。側近には、習近平の地方での側近などで固める体制でスタートしました。習近平主席は毛沢東に続く中国統治の存在として、国民に知らしめています。 今、中国で何が起こっているのか分かりづらい。

中国共産党の歴史の闇 文化大革命

文化大革命(または文革)は、1966年から1976年まで続いた、中国共産党中央委員会主席毛沢東主導による政治闘争です。この運動は、多くの人命を失い、中国国内の主要な伝統文化を破壊し、経済活動と学術活動を長期間停滞させました1

文化大革命は、毛沢東が劉少奇からの権力奪回と復権を目指して発動した大規模な権力闘争であり、毛自身の権力を固めるために仕掛けた大衆運動でもありました1。名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という文化の改革運動でしたが、実際は大躍進政策の失敗により国家主席の地位を劉少奇に譲った毛沢東が、紅衛兵と呼ばれた学生運動や大衆を扇動して政敵を攻撃させ、失脚に追い込むための官製暴動であり、中国共産党内部での権力闘争でもありました1

文化大革命は、中国社会に大きな影響を与え、現代中国の政治・社会に深刻な傷跡を残しました。その推定死者数は間接的なものを含めて約2000万人に及び、虐殺や共食いも特定の地域で発生しました1234

  この闇の時期は、中国の歴史において重大な出来事であり、その影響は今もなお感じられています。5

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改革開放の中で民主化を求めた天安門事件

天安門事件は、1989年6月4日に北京の天安門広場で起こり、民主化を求める学生や市民が中国軍によって武力で鎮圧されました。兵士が市民に向けて発砲し、多数の死傷者が出ました。自由主義圏からの投資を受け入れつつある中で、共産主義政府の改革開放と民主化を求める民衆との間に生じた乖離と矛盾が、学生運動の発生を促しました。当時、胡耀邦総書記など政府高官の中にはこの動きを容認する意見もありましたが、国軍トップの鄧小平は軍を動員してこれを制圧しました。

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中国、急激な経済成長の中の歪みの修正

2023年10月17日 中国北京「一帯一路」10周年国際協力ハイレベルフォーラム 151国 41国際機関
2023年10月17日 中国北京「一帯一路」10周年国際協力ハイレベルフォーラム 151国 41国際機関

「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム

2023年10月17日~18日、中国北京で開催された第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムに世界151カ国、41の国際機関が参加(日本から二階元幹事長出席)して、質の高い「一帯一路」を共に建設し、協力して共同の発展・繁栄を実現をメインテーマで開催された。2013年習近平主席就任の世界的テーマ構想、推進から10年の節目を迎えました。しかし、10年の中国主導の世界戦略の推進に「限界と無理」が各地で起こり、国内では過度な経済の行き過ぎが露呈し、戦略的には大きな見直しと調整の必要性が生じています。

2008年にアメリカのリーマンショックによる経済破綻は欧州・世界にも及びました。急成長を遂げる「中国の世界制覇の願望」が芽生え、潤沢な資金と14億人の消費力を生かして、高速道路、高速鉄道の内需拡大で世界の中国へと躍進し、2013年、習近平主席誕生で「中国躍進の旗印」が掲げられました。

ロシアのウクライナ侵略戦争~2年

ロシアのウクライナ侵攻から満二年どうなる?

2022年2月24日、ロシアは隣国ウクライナへ侵攻を開始しました。ゼレンスキー大統領率いるウクライナは国民の総意で徹底抗戦を選択しました。世界2位の軍事大国ロシアの侵略に警告していた欧米先進国は即座に懸念を示しました。数日以内に首都キエフ(キーウ)陥落?といわれる中でNATOの支援を受けながら反撃しました。ロシアは「核の脅し」をチラつかせ圧力を掛けました。欧米、先進国は最低限の武器、弾薬をウクライナに提供し阻止しました。2014年クリミア半島を用意周到に準備し無血で侵略取得した方法でロシアはウクライナのNATO加盟の阻止を実行しました。2年過ぎた今、膠着状態の中で和平案もありますが、一歩も引けない戦いが続いています。世界はロシアのエネルギーに依存していた影響でエネルギー資源が高騰し、ウクライナの小麦が食料危機を生み出し物価高騰が世界を駆け巡りました。中国経済の低迷とロシアの戦略の中で中ロは互いに補填しあう関係になっています。

中国の経済社会はどうなっているのか?

「共同富裕」を掲げた中国社会の苦悩

「共同富裕」という概念は、中国が社会主義市場経済を発展させる根本的な目標として位置づけられています。この思想は、全ての社会メンバーが物質的・文化的に豊かな生活を送ることを目指しており、中国共産党の長期的な政策として継続されてきました。毛沢東によって提唱された当初の理念は、社会主義的な工業化や農村経済の共同化を通じて実現されることを目指していましたが、生産力の増強が伴わなかったため、理想を達成することは困難でした。鄧小平の時代になると、「改革開放」政策が導入され、経済発展が推進されましたが、これによって生じた経済格差は、共同富裕の理念とは相反するものでした。現在の習近平指導部は、所得分配の調整を通じて格差是正を図り、富裕層や成功を収めた企業に対して社会への還元を奨励しています。これは、社会全体の共同富裕を目指す中国共産党の新たなアプローチと言えるでしょう。

内政、外交に難題を抱える中国

上海ロックダウン、ゼロコロナ政策の失敗

中国は、国内政策と外交政策の両面で複雑な課題に直面しています。2022年の上海のロックダウンは、経済活動に大きな影響を与え、工業生産と消費の両方が大幅に減少しました。これは、習近平政権の厳格なゼロコロナ政策の結果であり、社会経済の封鎖が長期間続いたことで、国内外の政策にも悪影響を及ぼしました。オミクロン株の拡大は、中国共産党大会の重要な時期、経済にさらなる圧力を加えました。また、恒大集団の債務危機や不動産バブルの崩壊の危機、地方政府の融資問題など、経済的な困難が重なり、国民の間には不満が高まっています。これらの問題は、習近平政権の今後の方針に大きな影響を与える可能性があります。 MicrosoftEdgeチャット一部修正

不動産崩壊に替わるEV自動車シフトの懸念

中国の不動産の破綻とEV自動車の減速

中国の不動産バブル崩壊が広がる中で、経済を牽引するとみられたEV自動車に減速の懸念浮上しています。世界的な排出ガス「ゼロ」政策の中で最大の車載電池(リチュウム電池)生産国中国はEV自動車を国家戦略として100年の歴史ある自動車産業の大転換に総力を挙げて挑戦しています。

中国国内で年間2000万台の新車販売台数で世界を牽引しています。近年、電気自動車の時代になり、中国メーカーが続々と増え、100社を超えています。自動車先進国の米国・欧州・日本においては100年の歴史の中で淘汰され、限られたメーカーに集約されています。

EV自動車は車載電池と電気モーター技術で動き出すことから、新たなメーカーが容易に参入できることで100社を超える中国メーカーは政府の国策として支援を受け参入し競争し、2023年自動車輸出で日本を抜いて世界一位になりました。

しかし、急加速する過程で ①高価 ②航続距離が短い ③充電設備が整っていない ④充電時間が長い ⑤冬季の電気ロスが大きい ⑥バッテリーの劣化が早い ⑦バッテリーの発火の危険性が高い ⑧買い替えの下取り価格が低い・・・など消費者にとってEV自動車への懸念が広がり大幅な販売減に陥っています。

:例えば、レンター会社でEV自動車を利用するお客さんが少ない。会社はEVを処分して→エンジン車に変えている。現状がEV自動車の急減速で「値下げ合戦」になって多くのメーカーが廃業に追い込まれている。中国は日本の市場である東南アジア(タイ・インドネシア・・など)に低価格で販路を求め、ロシアにも電気自動車を輸出して凌いでいます。 日本も東南アジアの市場が奪われています。 

米国・欧州域でもEV自動車生産の見直し

EV自動車は一定の層に行きわたる

2015年パリ協定により、欧米を中心に沸き起こった「温室効果ガス排出ゼロ」の中で、二酸化炭素を排出しないEV車への早期移行(2035年)表明により、各国は其々取り組みを強化してきました。自動車王国ドイツは環境推進国家としEV戦略を位置づけました。米国もバイデン大統領によって推進強化してきました。中国はリチュームイオンバッテリー生産のトップシエアーをベースに自動車生産、消費国中国の国家戦略として多額の補助金でEV自動車生産に全力を挙げました。結果2023年度には世界最大の自動車輸出国となり、欧州では自動車生産に大きな影響を及ぼしています。日本も同様三菱は中国から撤退、日本の最大の市場、東南アジア(タイ・インドネシア・・・)へ中国が販路を広げています。今、EV自動車は「値下げ合戦」で中国は世界市場の拡張、制覇を狙っています。欧米市場ではハイブリッド(トヨタ・ホンダ・・)が復活しています。

アメリカ・テスラも生産コスト削減の新たな取り組みを模索しています。日本メーカーもこの競争の社会でどのように生き残るか大きな岐路に立っています。