不動産事業に対する金融引き締めが影響
中国の不動産バブル崩壊やそれに伴う中国景気低迷への懸念について日本人は90%の人が懸念を示しています。中国ビジネスのリスクも64%の割合で懸念を示しています。
2021年に債務不履行の危機が表面化した不動産大手2位恒大集団の債務超過デフォルト懸念のニュースが世界を駆け巡りました。2021~22年2年間の決算報告は15兆7千億円の赤字と報告され、一企業の2年間の決算利益で巨額の赤字であることが判明、その後、比較的健全であるとされた中国不動産最大手の碧桂園も多額の債務を抱え、海外資金のデフォルトを起こしました。中国不動産の実態は250社ある主要不動産事業者も同様の状況であるとされ、生活の基盤がマンション投資によって富を得る状況の中で、完成しないマンションに対して、ローンの支払いも始まっている購入者がたくさんいます。多くは建物の完成の目途が立っていない。
2020年の新型コロナウイルス世界蔓延
中国発新型コロナウイルス感染拡大
中国武漢市発「新型コロナウイルス」感染拡大は経済圏の人の移動によって感染拡大し、高度成長を遂げる中国の春節(2月)の大移動で感染が拡がりました。初期の頃は一帯一路構想のシルクロード(イラン~イタリア)を経由して欧州に広がり、大西洋を渡って最大の感染国がアメリカになりました。一方で中国は習近平指導のもと10日で武漢市に感染病棟を建設し徹底した隔離政策「ゼロコロナ」を実行、指導力の賜物と称賛されました。欧米ではRNAワクチン開発に成功、繰り返される変異株にも即座に対応し、感染力の強い第6波のオミクロン株へはワクチン接種による「コロナと共存する」対応に移行し、移動制限の解除と経済活動の正常化を目指しました。中国はオミクロン株に対応しきれなくなり2022年4月~5月2500万人都市上海の2ヶ月「ロックダウン」に追い込まれ、重要な経済活動が停止しました。画像のように世界に蔓延する感染者数で、感染元の中国は「ゼロ」の数値で習近平の指導力がさらに称賛されていました。中国に依存した製品・物流に大きな支障が生まれました。
白紙運動によってコロナ対応の限界が表面化
感染力の強い第6波のオミクロン株になって、最大の都市上海の2ヶ月2500万人のロックダウンは中国国民の生活・経済に大きな影響を及ぼし、2022年末頃各地で「白紙運動」のデモが起こり、中国は「ゼロコロナ政策の放棄」に追い込まれました。すでに、「不動産バブル」の混乱と共産党思想「共同富裕」政策、行き過ぎた「一帯一路構想」の限界、「ロシアのウクライナ侵略の密約」による世界の自由主義圏との対立など、経済停滞への大きな支障がたくさん生まれています。最大の二酸化炭素排出国としてのEV自動車+車載電池の世界戦略、太陽光発電の市場独占、希少金属「レアメタル」の世界戦略に対して、欧米の抵抗と懸念が表面化しています。
中国の不動産経済崩壊→EV自動車+車載電池
中国経済を牽引した不動産→EV自動車へ
中国経済の3割を占めた「不動産開発」の行き過ぎが表面化、2020年不動産に対する金融制限を加えたことで、過剰な債務を抱える不動産事業者が資金調達に行き詰まり、資金不足が浮上し、建設中のマンションへの工事代金の支払いが滞り、建設の中断が各地で起こりました。購入者はローンの支払いも始まり現場や会社に押し寄せました。ローンも止める行動に出ました。中国国家は対応することなく放置し現在に至っています。一方で中国の次の産業としてEV自動車を奨励し、多額の補助金などでEV自動車の世界制覇に向けて走り出しました。全ての名目は二酸化炭素の削減を旗印に国を挙げて推進しました。欧米も同様の動きをしましたが、中国の莫大な支援策は100社を超えるEVメーカーが出現し、開発・生産に邁進しました。しかし、100年の歴史ある自動車産業に風穴を起こす技術やニーズにマッチしない要素もあり、高額で使いづらい要素も抱えながら、中国は値下げした安価なEV自動車の生産に走り、欧米の輸入関税アップなどの抵抗に遭っています。
中国の野望が欧米先進国の弊害となる
「世界の工場」としての中国の存在意義
1976年「文化大革命」で失敗した中国は、復権した鄧小平指導のもとで「改革開放」を謳い、西側資本主義の力を借りて、14億人の民を飢えから救い出す政策を勧めました。日本も開発協力「ODA」によって政府間の国際協力支援を中国に積極的に行いました。日本の高度成長期において日本製鉄が技術人材を派遣して、現在の世界最大の中国鉄鋼メーカーへの人材・技術供与をしました。中国の高度成長とともに拡大した中国鉄鋼メーカーは不動産バブルによって鉄鋼は低迷し、世界へ安い鉄鋼を流通させ混乱しています。国内では自動車産業に活路を求めています。しかし、世界の工場としての役割も一部他国に移りつつあります。