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中国共産党大会開催 習近平総書記報告

習国家主席 台湾統一のために武力行使も辞さず

1時間45分に及ぶ報告の大半は「幅広い分野で実績を上げたことを誇示」声を大にして「台湾統一のためには武力行使も辞さない」と強調した、中国全土から習主席の言葉に賛同する光景は「台湾」にとって耐え難いものがあり、日本も武力行使に巻き込まれる懸念が起こり得ます。アメリカの経済制裁、中国に賛同的だった欧州も対中国に厳しい対応に変化しています。会場に配布された資料は5年前より4ページ多い72ページありましたが演説時間は5年前の3時間半→1時間40分に短縮され、懸念される経済数値などの報告が薄まりました。大会当日に発表予定の中国GDP数値の発表が延期となり憶測を呼んでいます。

習近平政権が最重要課題に掲げてきた農村部の貧困層をなくす目標を達成、新型コロナウイルスの感染拡大で「ゼロコロナ」政策を展開し拡大を阻止し人々の命と健康を守ったとして実績を誇りました。対台湾は平和的統一を実現する、香港やマカオで導入している「一国二制度」による台湾統一を強調した。「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」統一のためには武力行使も辞さない姿勢を示した。

外交政策では、対立するアメリカを念頭に「冷戦思想と個別の国への内政干渉に反対する」とけん制しました。

アメリカなど外部勢力による干渉を阻止する

バイデン大統領は記者の問いかけに「台湾有事があればアメリカは台湾を守る」と回答、8月2日深夜アメリカ下院議長ペロシ氏の台湾訪問に対し、中国は台湾を囲む5地域に軍事演習地域を指定し、訪問前から台湾領空へ大規模な侵入を繰り返し挑発しました。ペロシ氏訪問時には威嚇砲弾を指定地域に発射着弾しました。日本の与那国島付近の日本領海内に着弾したとして中国政府に日本政府が抗議しました。台湾有事になれば台湾2300万人の人命と日本領土の保全のため、日本が巻き込まれることが容易に想定されます。ロシアが隣国ウクライナに攻め込んで8カ月になり多くの死傷者、壊滅的な悲惨な損壊を出し、今も戦火が続いています。大国となった中国の脅威はロシア以上と予測され、台湾有事が起これば戦況は厳しいものになります。互いにミサイルによる空爆によって、都市機能を攻撃し厳しい戦火になることが想定されます。日本にも戦況の判断が即時に迫られます。

成長を続けてきた中国社会に懸念材料が山積み

毛沢東主席の文化大革命(1966年~1976年)によって疲弊した中国、中央に復帰した共産党中央委員会主任 鄧小平が唱えた改革開放を示す”先に豊かになれる者たちは富ませ、落伍したものを助けること、富裕層が貧困層を援助することを一つの義務とする先富論を掲げて成長しました。その歪みを調整する時が来て2020年習近平は「共同富裕」を提唱し行き過ぎた社会の対応に着手しました。

  • 不動産開発 融資規制強化 384社が破産、バブル崩壊危機
  • 学習支援  18万社の学習塾の完全閉鎖 雇用創出
  • IT産業   独占禁止法違反の罰金 業績悪化

三つの産業の”発展論理は大きな変化に直面し、成長への貢献は低下する”として「共同富裕」思想を提唱して国民を引き付けようとした。三つの産業は中国経済を主導してきた産業で政策処理を誤れば大きな痛手となる。

強権的拡大に突き進む習近平政権に対応

一帯一路構想を掲げた習近平政権の野望

1991年ソビエト連邦崩壊の中で、着実に改革開放を勧めた中国は深圳・上海などの湾岸地域から成長を遂げ世界と戦える経済国家へと成長し、自由主義を求めた「天安門事件」を封殺して独自の共産党政権の掌握を実践してきました。14億人の人口による「労働力と消費力」によって「世界の工場へと成長」することで2010年には日本を抜いて世界2位の経済大国になりました。成長を続ける中国の野望は習近平政権によって世界に拡大することを目指し「一帯一路構想」を提唱し、アジア開発銀行に代わる中国版「アジア投資銀行 AIIB」構想を中国が掲げ先進国に変わる枠組みを作り積極的にアジア・アフリカ・欧州・中南米などの陸路・海路構想を拡大して、中国が世界を制する野望に突き進みました。

世界の警察官として秩序を維持してきたアメリカで2001年に起こった「ニューヨーク同時多発テロ事件」によってイラク・アフガニスタン戦争に突入、疲弊するアメリカ社会に起こった2008年の住宅・金融バブル「リーマンショック」によってアメリカは経済破綻に追い込まれ失墜、成長著しい中国が積極的な内需拡大の財政出動で世界を支える側に転じ存在感を示しました。2012年に就任した習近平主席は「一帯一路構想」を掲げ世界戦略の歩みを始めました。しかし、グローバル化した世界経済の中で無理な拡張は限界も生まれてきます。

中国の野望と自由で開かれたインド太平洋構想

中国の野望は拡大する一方で、南沙諸島の岩礁を埋め立て3っつの岩礁を一方的に埋め立て造成空港化して中国の領土として主張しベトナム・フイリピンなどの隣国との争いを一蹴して南シナ海は「中国古代からの海域であると主張」日米などが「埋め立ては違法、現状の変更による領土の拡張は違法」として、航路の自由で安全な航海の確保をベトナム・フイリピンと共に主張を繰り返しています。日本・インド・豪州・米国による「自由で開かれたインド太平洋戦略」提唱、中国の一帯一路の海洋進出と中国の台湾への武力による統一戦略に対応するため、欧州先進国イギリス・フランス・ドイツなど欧米の艦船が自由で開かれたインド太平洋海域へ遠征し、日本などへ寄港し牽制しています。北京オリンピックにロシアプーチン大統領を招待し、習近平主席は中露協力関係の強化を約束した後にロシアのウクライナ侵略が始まりました。世界戦略の中で自由主義国と専制主義国との対立が鮮明になり、G7先進国・NATO諸国の結束の重要性が増しています。中国は一帯一路構想に貧困国の重要インフラなどに返済不能な多額の融資を行い破綻に追い込み、スリランカの港などを99年間の占有権を取得して、中国の思いのままの権益を与えることなどで”中国の債務の罠”に追い込まれ苦しむことが起こっています。

香港・マカオ・台湾を国家安全維持法の圧力統治

台湾住民は独立志向と現状維持が75%を占める

台湾は民主主義国家として選挙によって統治の有無を選択しています。1900年代は中台統一、現状維持が大半を占めていましたが2000年になると徐々に台湾独立を主張する民進党が勢力を伸ばし、最近の選挙で蔡英文率いる民進党が50%近い支持を得て、現状維持派と合わせると75%を占めています。一国二制度の香港の自由主義運動に対して中国は「国家安全維持法」によって、中国が直接取り締まれる制度と運用を行い、違法者を中国が直接取り締まることで抗議デモの首謀者を逮捕する圧政を実行しました。脅威に感じた台湾の多くの人は拒否し民進党を支持し台湾独立又は現状維持を選択しています。中国は徹底した圧力を掛け、軍事的に大量の軍用機による領海侵犯を行って圧力を掛け続けています。ロシアのウクライナ侵攻と重なるアジアの危機が日本の近海に迫っています。