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日本の防衛予算増額議論の背景について

領土紛争がつきまとう日本列島の防衛

75年前の第2次世界大戦の終戦宣言後にソビエト連邦に侵略された北方領土は戦後史の中で「北方領土返還」運動としてソ連崩壊後もロシアと交渉を継続し、平和条約締結を条件に返還交渉を続けてきましたが全く進展しないまま今日を迎えています。ロシアプーチン大統領は同盟国であるウクライナに侵攻する暴挙に出ました。NATO加盟国(欧米)は後方支援の形で侵略に対する制裁を科し、必要な武器供与と避難民の人道支援を行い、G7(先進国)の日本も枠内で協調する姿勢を示し対応しました。隣接するロシアは日本に対して即座に敵対する対応を示してきました。日本は海洋国家として日本海・太平洋・オホーツク・黄海などの広大な地域防衛区域を保有しています。ロシア・北朝鮮・中国・韓国など広範囲に対峙する国境を有しています。

GDP2%の軍事費の予算枠の議論

戦争反対を掲げてきた日本「平和国家」としての歩みが揺らぎかねない状況に直面しています。今も自衛隊としての軍隊が日本の防衛を担っています。日米同盟の中で必然的に米国が守ってくれる構図を描いてきましたが有事になると全てをお願いする状況にないことが分かりつつあります。しかし、敗戦国の日本は二度と戦争をしたくないことに変わりがないと思います。隣国、韓国では北朝鮮との休戦状況にあり38度線で対峙していることから徴兵制があり、昨日世界一のアーティストグループBTSのメンバーが一人入隊しました。3年間の兵役義務があります。ウクライナではロシアの侵攻を受けて国家総動員で20~65歳の男子は国に残り武器をもって防衛の任務に就くことが求められています。家族とも別れ過酷な状況の中で国家を守ろうとしています。いつどこでどのように起こるかわからない戦争が身近に起こることの社会が存在し、自ら守る意識の必要性を感じることになっています。平和国家を掲げる日本はGDP2%を選択すれば世界3位の軍事国家になってしまいます。

軍事大国アメリカに向かう対立軸

中国は改革開放政策の中で国家が急成長を遂げ世界2位の経済・軍事の強国となり習近平政権は世界の覇権を目指して、一帯一路構想、AIIG(アジア投資銀行)設立などで「世界の中国」を目指して国力を示してきました。南沙諸島の岩礁を一方的に中国の領土として埋め立て軍事空港滑走路を建設し周辺国との対立を抑え込む行動に出てきました。香港返還50年の半分の時点で「国家安全法」によって中国の監督下に置くことで、自由主義国「香港」の主権をなくし「言論の自由・意義を唱えるデモ」を起こしたものは中国の国内法で厳しく処罰することになり抑え込んでいます。台湾も同様の対応を示唆しています。中国の成長の課程で先進国の積極的な支援が行き届き、14億人の民を有する中国は世界2位の経済国家に躍進しました。しかし、共産党一党独裁の専制主義国家は大きな対立軸となり覇権を争うまでに成長を遂げました。今、自由主義圏はこの脅威に怯えながら立ち向かおうとしています。軍事大国アメリカも「知的財産権」などに厳しい制限を掛け、ものずくりの自由度を監視し、高度な半導体などの制限を厳しく牽制しています。

日本の最大の貿易相手国「中国」

日本は中国、ロシアとも国境を接し、軍事的脅威は高まっています。しかし、経済においては互いに交易の中心的な役割を担っています。経済界は中国の存在無くして日本の経済が成り立たない状況におかれていることは間違いないと思います。コロナ禍の3年間で大きな選択肢が生まれています。