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世界は民主主義と専制主義の闘いに焦点

G20大阪サミット議長国日本、両側に対立米中首脳(2019/6)
G20大阪サミット議長国日本、両側に対立米中首脳(2019/6)

アメリカトランプ大統領が示したの米中対立

2017年1月20日 自国第一主義を掲げたトランプ大統領はアメリカの復活をかけた米中貿易戦争に大きく舵を切りました。さらに米国にとって不利と判断したパリ協定、イラン核兵器合意、TPP経済連携からの離脱、同盟国との不均衡などあらゆる不利益に一刀両断で破棄する姿勢で積み重ねてきた秩序の変更による混乱が起こりました。対中国に対しては貿易不均衡に対して関税合戦を繰り返し、互いに一歩も引かない姿勢が続けられています。知的財産権と外資企業の中国での合法的権益保護の強化、改革開放の深化などで米国は徹底して追及しました。次世代通信機器5Gに対して情報の漏洩の懸念などを理由に米国は自由主義圏が採用しないことを内外に示し厳しい対応を迫っています。

バイデン大統領の就任初の記者会見 2019年3月25日
バイデン大統領の就任初の記者会見 2019年3月25日

バイデン大統領「自由主義と専制主義の闘いだ」

バイデン大統領は「自由主義と専制主義との闘いだ」と表現して6か月を過ぎました。バイデン大統領はトランプ政権の自国第一主義に基づいて破棄した同盟国との連携を第一に挙げ関係修復とパリ協定、イラン核合意の復活議論など欧米諸国との連携に力を注ぎ、巨大化する中国の力との対立軸を維持・強化しながら同盟国との連携を計るとしています。一方習近平指導部が率いる中国は対立軸を鮮明にし「共産党建国100年の節目に世界制覇に向けた宣言」を発しました。トランプ時代から続く米中貿易戦争の消耗戦、蔓延する新型コロナウイルスとの戦いの中で互いに負けられない自由主義と専制主義の覇権争いが鮮明になってきます。米ソ冷戦から四半世紀(25年)新たな対立が起こっています。

強国の狭間で厳しい判断が求められる日本

安倍→菅→岸田政権に慌ただしく変化した日本、遠く離れた米国・EU圏と違い、最大の貿易相手国中国の存在があります。世界最大の製造国、14億人の巨大消費国、軍事強国となった中国の存在は、近隣国日本は衆議院選挙で防衛対応の判断にも影響が及ぶ状況に大きく変化しています。専制主義(共産党一党支配)国家で習近平主席に集中する中国の権力統制に戸惑う日本社会の対応力が試されています。

香港の民主化運動は「国家安全法の施行」によって統制と弾圧される社会に変わり、さらに独立を施行する「台湾」に対して、各国が連携を強化すると中国は台湾航空識別圏に20機以上の戦闘機が侵入させ威嚇を繰り返しています。日本の尖閣諸島へ武器を搭載した「中国海警」の船舶が連日侵入して日本の海上保安庁の船舶と一触触発の状況が生まれています。

中国は南シナ海の岩礁を埋め立て空港建設を行いベトナム・フイリピンと紛争を繰り返し、領土拡張を実行し防衛網を強化しています。

発祥国中国は早期に感染抑え込み経済構築

専制主義の国家の特徴を最大限利用して、国家統制のもとで感染を抑え込み、発生国でありながら一早く経済活動を再開し最小限の減少に止め復活の歩みに入っています。マスク生産を中国に依存していた日本は混乱しました。日本が委託生産していたマスクも中国の統制下に入り「中国のマスク外交」のアイテムになりました。困窮した日本は「アベノマスク」やマスク工場を中国→日本に移し生産を始めました。すべてを中国に依存していた生産依存の問題点が浮き彫りになりました。これからも強国中国の動静が日本経済に大きな影響を持ち続けます。しかし、生産技術で生き抜いてきた日本は長期的なビジョンの中で革新的な技術を再構築して国家の成長を続ける選択が求められています。強国アメリカも技術生産国として対外依存からの復帰を模索しています。

覇権国家アメリカ・中国の健全な行動を願う