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中国習近平主席3期目 一強体制を世界は危惧

偉大な中華民国を目指す習近平の権力基盤

建国二世の習近平は2期10年(69歳)党総書記の任期を規約変更して3期目に就きました。2013年59歳で党総書記、国家主席、党軍事主席を掌握、就任後「一帯一路構想」「アジアインフラ投資銀行AIIB」設立、習近平指導部は世界戦略を描き内外に示しました。既に2010年には世界2位の経済大国になり、日本はバブル崩壊平成不況、アメリカはリーマンショック後で社会経済が停滞する中、14億人の民を有し世界の工場として成長を遂げ、1億人の富裕層も生まれ旺盛な国内消費の力を蓄え、先進国も含めた世界は中国への依存度が高まっていました。文化大革命で混乱の中、鄧小平は改革開放、市場経済を唱え、西側の市場経済社会から投資を呼び込んで社会経済の仕組みを大きく変えることで成長を模索しました。鄧小平は先富論「先に豊かになれる者たちを富ませ、落伍した者たちを助けること、富裕層が貧困層を援助することを一つの義務にする」ことを唱え、共産主義の中に市場経済を導入して「文化大革命」混乱した社会の打開を図りました。中国は成長を遂げ、大きな富を得る事業家が沢山出てきました。一方で腐敗社会も起こりました。

中国の行き過ぎた成長戦略の限界

習近平の世界制覇 一帯一路・AIIB銀行の限界

鄧小平・江沢民・胡錦涛主席が中国復活を中国式市場経済及び「経済特区」で世界の資本・技術・人材を中国企業と合弁化して発展の基盤を徐々に構築しました。14億人の民と労働力を最大限に生かし、外国からの資本・技術を合弁企業化して「世界の工場」としての基盤を積み上げてきました。世界を制覇した資本主義社会経済の行き過ぎ「金融バブル経済」を引き起こし、ものづくりの社会に歪が生まれていました。先進7ヵ国の成長率は低下し、安い労働力にに恵まれた新興国(台湾・中国・韓国・・)が成長率6~10%以上の高度成長を遂げてきました。しかし、今年の中国は最低限の5.5%の成長を見込んでいましたが、現状3%台に落ち込む予想が出ています。共産党大会に発表する経済指標(GDP)が先送りされ厳しい数値が予測されました。一期・二期「一帯一路・AIIB」で発した発展構想が今大会では主要な議題にならなかった。一帯一路構想の重要なルートにウクライナがロシアの侵攻を受けて寸断され、それ以外でも中国の無理な発展構想の限界が見えてきたのかもしれません。

中国の世界戦略と急成長の影に歪も生まれる

第2次世界大戦の終戦協定が締結されて以降も、東西冷戦(自由主義圏 対 共産主義圏)の対立が続き、1991年12月ソビエト連邦崩壊、東西ドイツの統合、日本のバブル経済崩壊、1993年EU(欧州連合)設立など東西冷戦の対立から、アメリカ一強の世界が誕生しました。しかし、新たな変革は2001年アメリカ同時多発テロによって、中東においてテロが多発し世界の秩序が怪しくなっていきました。しかし、世界は民族、資源、宗教、イデオロギー対立が各地で頻繁に起こっています。第2次大戦から今も残された紛争地は朝鮮半島で南北対立が続けられ、ミサイル・核の脅威が残されています。2022年2月24日ロシアプーチン大統領がウクライナへ侵略戦争を仕掛ける、1980年代後半ソビエト連邦ゴルバチョフ大統領がペレストロイカ(ソ連再構築)による統治機構の改革を提唱した。ゴルバチョフは守旧派のクーデターで失脚したが市民派によってソ連崩壊につながった。(ゴルバチョフ 2022年8月30日91歳で死去)2000年台頭してきた中国共産党政権が驚異的な成長を続ける。ソ連の盟主ロシアはプーチン大統領によって20年間の権力の中で、民主主義から専制主義国家に変貌して、隣国(盟友国)ウクライナへ侵略を行う。今世界は大混乱の中にあり、成長し続けた中国も変革の厳しい時期を迎えています。

習近平3期目(世界が注目)一強体制の道のり

「共同富裕」を掲げた習近平政権3期目の道

新型コロナウイルスを「ゼロコロナ政策」で抑え込んだ習近平主席は2021年9月「共同富裕」思想を提唱し3期目を目指す意向を示しました。突如表明した「共同富裕」は中国国内の格差是正が急務であると判断し、自ら先頭に立って「強国中国」を率いる覚悟を国民に示した言葉です。1949年中華人民共和国設立70周年(2019年10月1日)を前に世界一になることを誇った中国の今後の歩みを「共同富裕」で表しました。しかし中国の現実は格差は増大し、ますます貧富の差が広がりを見せ、経済の裏側で住宅建設バブル、IT企業の巨大化、教育格差、地方政府の債務など統制の利かない社会が生まれつつあり、先には少子高齢化による破綻の懸念、都会に集まってきた高学歴の就職難などが米中関税合戦の中で歪が露呈してきました。共同富裕思想の実態は分かりませんが、世界強国への道は、先進国と対立する姿勢にのみ存在する道として中国は内憂外患の道のりは、先進国同様厳しいものが待ち受けていると思われます。

毛沢東が唱えた中国共産党のスローガン「貧富の格差を是正し、全ての人が豊かになることを目指す」ことです。

習主席は「高すぎる所得を合理的に調節し、高所得層と企業がさらに多くの還元することを奨励する」と述べ、所得の高い人や大手企業に寄付などを促しました。強権的な制裁などでIT企業などの成長が大きく後退し、株価も大きく下落しています。共産党大会終了時に香港株式市場で大幅な下落が起こっています。世界の投資家が懸念を示し資金を引き揚げる行動に出ています。半導体製造など知的財産保護などで先進国は投資に大きな懸念を示しています。

共産党一党に習近平一派の支配の懸念