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急成長を続ける中国「共同富裕」を掲げる現実

習近平政権にとって重要な2022年

2021年7月1日(共産党創立100年)人民大会堂に「人民服」姿で登壇、習近平は国民と世界に向けて”世界を制す!”と拳をあげて鼓舞し世界一の強国となることを内外にアピールしました。専制主義国家として「習近平崇拝」を世界に配信し権力の掌握を表現した瞬間です。

  • 製造強国2025 世界の製造強国の仲間入り
  • 製造強国2035 中位に入り一部世界をリード
  • 製造強国2049 世界のトップとなる

2015年に習近平政権指導部が目標設定に基づいて、世界の製造強国として突き進み、2049年(中華人民共和国の建国100周年)に世界のトップとなることを宣言した習近平政権の野望は世界の脅威となる。

中国の歴史を振り返る

文化大革命運動 紅衛兵の学生運動
文化大革命運動 紅衛兵の学生運動

毛沢東「文化大革命」混乱と内部抗争

中華人民共和国(1949年10月1日 建国)1958年~毛沢東が推し進めた大規模建設、農業増産を目指した大躍進政策が行き詰まり2000万人の餓死者と経済危機を生み、毛沢東への支持が衰え、権力が危うくなった時、毛沢東は全国民に「労働者階級からの権力奪取を目論む資本家の一味」と見なされる人物の一掃を布告「文化大革命」運動(1966年~1976年)が発せられました。日本では東京オリンピック(1964年)が終わり、大阪万博(1970年)の高度成長真っただ中の時、田中角栄が訪中、日中国交正常化の調印(1972年)の頃、中国は大混乱の中にありました。毛沢東主導の文化大革命の出来事は4人組の仕業として処刑で無きこととし、中国の記述・表現から全て封印されています。 

鄧小平の改革開放と先富論の歩み

鄧小平「豊かになれる条件を持った地域、人々から豊かになればいい」の先富論の方針を掲げ、経済特区に指定された深圳(しんせん)・珠海(しゅかい)・汕頭(スワトウ)・厦門(アモイ)などが解放成長を遂げた、しかし、1988年加熱した経済は18.5%の物価上昇を招き天安門事件へと発展していきます。激しいインフレは庶民の生活を脅かすレベルになった。経済への不満から、その元凶を役人と見た庶民たちの間には、腐敗役人の追放とともに共産党一党支配への反対、議会制民主主義と三権分立の要求、民主主義の強化を求める動きで、胡耀邦総書記なども理解を示していたが、翌年天安門事件(1989年6月15日)勃発、鄧小平のもとで制圧されました。 天安門事件も中国の記述から消されています。

専制主義国家 習近平の野望

習近平の野望 一帯一路、AIIB投資銀行

 習近平就任(2012年11月総書記)翌年、国家主席になった習近平は「一帯一路構想」を掲げ、中国と欧州を中央アジア経由の陸路とインド洋経由する海洋でつなぐ構想を掲げました。同時にアジアインフラ銀行(AIIB )を提唱(2015年設立)し躍進する中国の野望を鮮明にしました。貧困にあえぐアジア各国とEU圏が賛同し手をあげました。世界の工場として躍進を遂げ、2010年に世界第2位の経済国となっていました。世界は安い製品を頼りにMAID IN CHINAに走りました。AIIBにEU圏は早々に賛同、日本は熟慮して参加、アメリカは不参加のままです。構想から10年一定の成果を上げるも問題も発生し岐路に立っています。

「共同富裕」を掲げる習近平政権

毛沢東が掲げた「文化大革命」は毛主席が提唱した大躍進政策が失敗し、国家主席の地位の復権をかけて「学生運動を中心とした紅衛兵」を扇動し政敵を追い込む悲惨な闘争を行う。

鄧小平は先富論を掲げ「改革開放」を行い、資本主義の市場経済の政策に転換、外国資本と技術を巧みに取り入れ躍進を遂げました。

江沢民・胡錦涛主席を経て、経済後進国から新興国へ躍進し、経済先進国へと発展を遂げています。30年間の改革開放政策の大きな飛躍によって、2010年世界第2位の経済国家に成長を遂げました。

習近平政権の誕生(2012年11月 総書記・翌年国家主席)で、世界へ進出する「一帯一路」AIIB(アジア投資銀行)構想を掲げ、中国が世界に躍進する姿勢を示した。

習近平政権誕生から10年、南シナ海への進出、近隣アジア諸国への介入、アジア、アフリカ、南米など苦しむ後進国への積極的な進出によって、陸路・海洋の流通確保と資源の権益など14億人の豊富な人材を投入して世界進出を計ってきました。海洋に弱かった軍部の増強も年々強化し、外海への確保を続けています。

専制主義国家中国、習近平政権の強権的な姿勢に、自由主義圏の各国が大きな懸念を示しだした。 

大躍進の中国、習近平政権の「共同富裕」

コロナ発症国中国「共同富裕」の道へ

習近平政権は共同富裕(皆がともに豊かになる)の実現に向けて国家統制の強化を始めた。

  • アリババ集団など巨大IT企業に対し、独占禁止法違反を理由に巨額の罰金徴収
  • 芸能人に対する税務調査強化や罰金徴収
  • 富裕層の財産に対する課税強化高額寄付の奨励など金持ち崇拝を戒める
  • 高額で庶民の生活を苦しめる教育・不動産・医療に対する厳しい対策
  • 徹底した「ゼロコロナ」政策による徹底したロックダウン

習近平政権は”共同富裕(皆が共に豊かになる)”の実現に向けて強化を始めた。アリババ集団など経営基盤拡大に介入制裁、芸能人の脱税を摘発、不動産開発に対する融資額縮小、教育塾の閉鎖などによって弊害も起こっている。コロナ抑え込みに成功した中国の社会経済の早期復活の凄さを感じましたが、欧米が苦しんでいる感染拡大との対応に、相互に疑問の抑え込みに正解が見えていない。

中国の成長率にも陰りが見え、中国発表のGDP数値にも疑問が投げかけられています。中国の地方行政の負の遺産、恒大不動産の破綻、不動産の連鎖破綻、工事がストップした建設業界及び関連業種の縮小、不動産投資の破綻、塾などの閉鎖による破綻と労働人材の縮小、ゼロコロナによる保証なしの「ロックダウン」などによる経済活動の停止と破綻急増、中国の実態が良くつかめないのが実情です。