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吉野彰さん ノーベル化学賞受賞 授賞式

リチュウム電池の基本技術を開発 吉野彰

35年前、旭化成の技術研究者の吉野彰さんが、安全なリチュウム電池の技術を開発しました。京都大学卒業・旭化成入社、テーマをもって研究を重ね、他の開発で達成できない中、リチュウム電池に取り組み、発火・爆発の危険性のある技術に、負極に炭素素材の利用を発見、現在の安全なリチュウム電池が開発されました。

充電することで繰り返し使える電池が35年前に開発され、ソニーの8㎜ビデオカメラに内蔵することで、一定量の流通の目途が出来ました。

パソコン技術が進化し、持ち歩きのノートパソコン、携帯電話・スマホ需要へ拡大し、リチュウム電池は欠かせない部材になりました。

産業革命以来蒸気機関・内燃エンジン(ピストン)で駆動していた自動車に、近年リチュウム電池を搭載した電気自動車が拡大しています。リチュウム電池の技術開発は社会に大きく貢献する時代になっています。

エンジンからモーターと蓄電技術

リチュウム電池の技術が電気自動車へ

35年前、旭化成の研究者であった吉野彰さんが、リチュウムを利用した電池技術に没頭し、炭素素材を負の電極に使うことを発見、高温・爆発の危険性が少なく二次電池(放電~蓄電)を繰り返す電池の原型が開発されました。

使い捨ての一次電池(乾電池)~二次電池の世界へ広がり、蓄電技術・容量も改善され、リチュウム電池の技術はなくてはならない革新的技術になりました。小さな電池の集合体が情報機器(パソコン・携帯・スマホ・・)家庭用機器(掃除機・シエイバー・自転車・・)工具(ドライバーなど電動工具・・)多くの機器に広がっています。

電気自動車に搭載の蓄電池でエンジン~電気へと拡大しています。

地球温暖化に貢献する再生可能エネルギーの蓄電が技術の進化によって化石燃料からの脱却も視野に入った技術革新が起こっています。 


エンジンの技術

18世紀に蒸気を使った機織り機、蒸気機関車、蒸気船の発達で工業化が進み産業革命が起こりました。電気が発明され明かりが灯り、社会が進化しました。

エンジン(吸気→圧縮→爆発→廃棄)の開発で自動車が進化し現在に至っています。

モーターの技術

電気の発明・発達により電化社会が進化していき、N極とS極の磁場の流れと回転力を利用したモーターの開発で大小の回転軸を利用した技術が工業化の力となりました。今、モーターを駆動させる電気自動車の時代が訪れています。モーターの技術も進化しています。



吉野彰さん ノーベル化学賞受賞記念講演

リチウムイオン電池の開発経緯とこれから

ストックホルムで受賞前、1000人の前で「リチュウムイオン電池の経緯とこれから」と題して講演しました。

35年前に開発された技術が認められノーベル賞を受賞した吉野さんは日本の企業研究者として受賞したことで多くの人の励みとなり、家族への贈り物になったと、受賞の感謝の気持ちを述べました。

幼少期に「ろうそくの科学」の本を読んで科学に興味を持ち、大学(京都大学)を卒業後、総合化学会社・旭化成の研究者として入社、別のテーマ後、ノーベル化学賞を受賞者の白川英樹さんが開発したプラスチックを使って電池の研究を始めた話を交えながら、開発の苦労と困難な過程を話しました。

講演の最後に「持続可能な社会は技術革新によってやってくる。電池はその中心的な役割を担っている」問いかけました。この講演は世界に発信され、地球温暖化対策に揺れるCOP25(スペイン・マドリード)の気候変動枠組み条約の世界会合(国連主催)にも届けられます。